目次
寝不足になる原因
寝不足の原因にはさまざまな要素がありますが、多く見られるものとして以下が挙げられます。
- 不規則な生活リズム
- ストレス
- 寝る前のスマホやPCの使用
- カフェインやアルコールの過剰摂取
- 睡眠環境の悪さ
これらの要因は、生活習慣や環境の乱れによって起こりやすく、寝不足に大きく影響すると考えられています。日々の行動や環境を少しずつ見直してみることで、睡眠の改善につながる可能性があるでしょう。
寝不足の解消方法
寝不足だと感じているときは、毎日の習慣を少し見直すことでも改善につながる場合があります。ここでは、寝不足の解消を助けると言われている方法を紹介します。
- 規則正しい生活リズムにする
- 日光を浴びる
- 適度な運動をする
- 食生活を整える
- 湯船に浸かる
- 昼間に仮眠をとる
規則正しい生活リズムにする
規則正しい生活リズムに整えることは、質の高い睡眠をとるための基本とされています。
人の体には「体内時計」と呼ばれるリズムがあり、規則正しい生活を続けることで、この体内時計が安定すると言われています。体内時計が整うと、自然な眠気をもたらす「メラトニン」と呼ばれるホルモンの分泌が安定し、入眠しやすくなる可能性が高いです。
例えば、以下のような習慣を意識することで、生活リズムが整いやすくなると考えられています。
- 毎日同じ時間に起きて、同じ時間に寝る
- 起床後に朝日を浴びる
- 朝食を欠かさず摂る
- 就寝前にリラックスできるルーティンを設ける
夜更かしや不規則な食事時間は、体内時計の乱れにつながりやすいため、意識して避けることが大切と言えるでしょう。
日光を浴びる
起床後は、なるべく早く太陽の光を浴びることで、生活リズムが整いやすくなると言われています。
日光を浴びると体内時計が調整され、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌サイクルが整いやすくなるとされています。この作用によって、睡眠と覚醒のリズムが安定し、自然な眠気を感じやすくなる可能性が高いと言えるでしょう。
メラトニンは、夜間に分泌量が増え、自然な眠気を誘うとされており、朝の光がそのリズム形成に関与しているという見解が多いです。
そのため、起床後にまずカーテンを開けて朝日を取り入れる習慣をつけることで、体のスイッチが入りやすくなると考えることができます。日光浴の時間は、起床後1時間以内に5〜20分程度すると理想的でしょう。
また、深夜勤務などで日中に睡眠を取る生活スタイルの場合、自然光を浴びることが難しい場合があります。そのようなときは、明るめの照明を使うなど、人工的な光を取り入れる工夫も有効と言えるでしょう。
適度な運動をする
適度な運動は、心地良い疲労感をもたらし寝つきを良くすると言われています。
日中に体を動かすことで、心身がリフレッシュされ、夜になると自然な眠気が訪れやすくなると考えられています。
これは運動によって一時的に体温が上昇し、その後に体温が下がる過程で眠気が誘発されやすくなるというメカニズムによるものです。加えて、運動には精神的なリラックス効果も期待できます。
例えば、適度な運動として、以下のようなものが挙げられます。
- 軽いジョギング(30分程度)
- ウォーキング(1時間程度)
- ヨガやストレッチ(15分程度)
ちなみに、ヨガやストレッチは、寝る前に行うことでリラックスにつながりやすいと考えられています。
ただし、寝る直前に過度な運動をすると交感神経が優位になり、眠りを妨げることがあると言われているため、過度な運動を行う際はなるべく寝る2〜3時間前までに済ませると良いでしょう。
食生活を整える
食生活の乱れは、睡眠の質を低下させる原因になると言われています。
気持ちを穏やかに保つために重要とされる幸福物質の「セロトニン」は毎日の食習慣によって作られていると考えられています。そのため、適切な食習慣とバランスのとれた食事が継続できていると、睡眠ホルモンやセロトニンの合成が促され、安定した睡眠リズムにつながる可能性が高いと言えます。
食生活においては、以下の点を意識すると良いでしょう。
- 毎日決まった時間に食事を摂る
- 夕食後はカフェインやアルコールを控える
- 就寝の3時間前には食事を済ませる
- 夕食の時間が遅くなる場合は、消化の良い軽めの食事内容にする
また、寝不足の解消には睡眠ホルモンのメラトニンや幸せホルモンのセロトニンの原料となると考えられている「トリプトファン」を含む食品を意識して取り入れることが望ましいと言われています。
例えば、トリプトファンを多く含む以下の食品を意識して摂ると良いでしょう。
- 動物性たんぱく質:牛乳・チーズ・卵・鶏むね肉・カツオなど
- 植物性たんぱく質:納豆・豆腐・味噌・きなこ・豆乳など
- ナッツ類:アーモンド・カシューナッツなど
湯船に浸かる
寝る前に湯船に浸かることでも、寝つきを促す効果があると考えられています。
一般的に湯船に浸かることで一時的に体の深部体温が上昇し、その後に体温がゆるやかに下がることで、自然な眠気が訪れやすいです。
また、入浴によって筋肉の緊張がほぐれると、副交感神経が優位になりやすく、心身がリラックスした状態へと移行しやすくなると考えられています。
例えば、就寝の1時間半〜2時間前に、40℃前後のぬるめのお湯に15〜20分程度浸かると、眠りにつきやすくなるでしょう。
なお、高温のお湯は交感神経を刺激し目が冴えてしまう可能性があるため、注意が必要です。
昼間に仮眠をとる
昼間に短時間の仮眠をとることは、集中力や気分の回復に役立つとされています。
ここで言う仮眠とは、通常の睡眠時間とは別にとる15〜30分程度の短い眠りのことです。また、午後13時〜15時ごろの時間帯が仮眠に適していると一般的に考えられています。
仮眠をとることで脳の疲労が軽減され、午後の集中力や作業効率が高まる可能性があるとされています。また、仮眠によって昼間の眠気が軽減されることで、夜の睡眠の質を保ちやすくなるという意見も多く見られます。
例えば、以下のような仮眠のとり方が効果的とされています。
- 昼食後に20分以内の仮眠をとる
- 静かで、明るさや音を抑えた場所で仮眠する
- 深い眠りを避けるためにベッドではなく椅子を使う
- 仮眠前にカフェインを摂取しておく
なお、30分以上の仮眠をとってしまうと、深い睡眠に入りやすく、起きた後にぼんやりした状態が続くことがあるため、時間を決めて短時間の仮眠に留めると良いでしょう。
また、夕方以降の仮眠は、夜の眠りに影響が出る恐れがあるため、控えたほうが良いと言えます。
寝不足でも眠気を覚ます方法
寝不足のまま過ごす日は、集中力が続かなかったり、気分が落ち込んだりすることがあります。ここでは、寝不足でも1日をなるべく快適に乗り切るための方法を紹介していきます。
- 深呼吸する
- 水分を摂って喉の渇きを癒す
- 朝風呂や朝シャワーをする
- ストレッチで体をほぐす
- ブドウ糖を含む食べ物を摂る
- メントールを首に塗る
- 眠気覚ましに効くツボを刺激する
深呼吸する
深呼吸をすると、寝不足でも眠気が覚める場合があります。
深呼吸とは、ゆっくりと深く息を吸い、止めてからゆっくりと吐く呼吸法です。この深呼吸によって、脳に酸素が行き届きやすくなると考えられています。その結果として、一時的に眠気を抑え、気分を切り替える効果が期待できます。
ただし、注意点として過度に深呼吸を繰り返すと逆に過呼吸になることもあるため、注意が必要と言えます。
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水分を摂って喉の渇きを癒す
水分をしっかり摂ることで、眠気を和らげ、気分をリフレッシュしやすくなると言われています。
水分補給は、血流を整えたり血行や酸素の供給のサポートをしたりしているとされます。また、眠気やだるさがあるときは、軽い脱水症状の可能性が考えられます。
体内の水分が足りないと、脳に送る酸素量も不足しがちになります。そのため、適度な水分補給を行うことで、水分不足による注意力や集中力の低下を解消できる可能性があります。
対策として、朝や昼の活動前に、グラス1杯分の水を補給すると良いでしょう。また、1〜2時間ごとにこまめに水分を補給することや、眠気が強いときは冷たい水をひと口飲んで刺激を与えることも眠気を覚ます手助けとなり得ます。
なお、一度に大量の水を飲むと胃に負担がかかる可能性があるため、少量ずつこまめに摂取するのが望ましいと言えます。
朝風呂や朝シャワーをする
朝風呂や朝シャワーは、寝不足でも眠気を覚ます方法の1つとして挙げられます。
交感神経は、体を活動モードに切り替える役割があると言われています。 そのため、朝風呂や朝シャワーによって体温が上がり、交感神経が活性化することで、意識が覚醒する場合が多いです。
また、体温が上昇すると、脳も働きやすくなり、自然と目が覚めやすくなるとされています。しかし、温度が高すぎるお湯は交感神経を刺激しすぎてしまう可能性があるため、ぬるめのお湯(38〜40℃程度)になるように設定すると良いでしょう。
ストレッチで体をほぐす
ストレッチで体を動かすことは、寝不足でも眠気を覚ます方法として効果があると言われています。
ストレッチとは、筋肉や関節をゆっくり伸ばす動作のことで、体の緊張をほぐす目的で行われます。
筋肉がゆるむことで血流が促され、脳への酸素供給も円滑に行われやすく、心身がリフレッシュできるケースも多いです。
例えば、以下のようなストレッチを取り入れると、短時間でも眠気対策に役立つことがあります。
- 首や肩まわり:首を左右に倒したり、肩をゆっくりと回す
- 背中:両手を頭上に伸ばして深呼吸しながら背筋を伸ばす
- ふくらはぎ:足を前に出してつま先を手前に引く
なお、ストレッチは無理に伸ばそうとせず、痛みを感じない範囲で実施することが望ましいとされています。さらに、ストレッチと合わせて、深呼吸を行うとよりリラックスしやすくなると言えるでしょう。
ブドウ糖を含む食べ物を摂る
ブドウ糖を含む食べ物を摂ることは、眠気を和らげる方法の1つと考えられています。
ブドウ糖は、脳にとって主要な動力源と言われており、日中のパフォーマンスを支える栄養素の1つです。脳は体内で使われるブドウ糖のうち、比較的多くの割合を使用すると言われています。
そのため、ブドウ糖を含む食べ物を摂ることで、短時間で思考がクリアになりやすく、眠気を感じにくくなる場合があります。
例えば、日中の集中力維持のために次のようなブドウ糖を多く含む食品を取り入れると良いでしょう。
- フルーツ(バナナやぶどうなど)
- ビスケット
- 食パンやロールパン
- エネルギーバーやラムネ菓子
- スポーツドリンクや炭酸飲料
また、外出時は、携帯できる小分けタイプのお菓子などが便利です。ただし、ブドウ糖を摂りすぎると、血糖値の急な変化により、眠気を起こす場合があるため注意が必要です。
メントールを首に塗る
メントールには、冷感刺激作用があるため、首に塗ることで寝不足でも眠気を覚ますことができると言われています。
メントールはハッカから抽出される冷感成分で、肌につけると涼しい感触をもたらすという特性があります。市販の冷感シート(例:冷えピタ)などにも、メントールが配合されている製品が多いです。
メントール配合のクリームやバームを首の後ろに塗り、軽くマッサージすることも効果があると言われています。また、眠気を冷ます効果を持続させたい場合は、冷感シートを首の後ろに貼るのも1つの方法です。
なお、メントールは目に入ると強い刺激になるため、使用後は手を洗い、目元には触れないよう注意することが望ましいです。
眠気覚ましに効くツボを刺激する
寝不足でも、眠気を覚ます効果があると考えられているツボがいくつかあると言われています。
ツボ刺激とは、体にある特定のポイントを押すことで、身体機能の調整や活性化を目指す手法です。ツボを刺激することで自律神経が整いやすくなり、体が活動モードへと切り替わりやすくなると考えられています。また、血行が促されることで脳への酸素供給がスムーズになり、眠気を軽減できると見込まれています。
以下のようなツボは、眠気対策として活用されることが多いです。
- 合谷(ごうこく):手の甲の親指と人差し指の間にあるツボ
- 中衝(ちゅうしょう):中指の先端に位置するツボ
- 百会(ひゃくえ):頭のてっぺんにあるツボ
- 風池(ふうち):首の後ろ、うなじのくぼみにあるツボ
- 山根(さんこん):左右の目頭の中間にあるツボ。
- 天柱(てんちゅう):首の中心線と髪の生え際から、親指2本分ほど外側にあるツボ
なお、ツボは強く押しすぎず、3〜5秒かけてゆっくり数回刺激するのが良いとされています。
寝不足が解消しないと現れる症状
寝不足が続くと、体や心に変化があらわれることがあります。具体的な症状としては主に以下のようなものが挙げられます。
- 脳機能が低下する
- 精神的な疲労感が増す
- 肥満を招きやすくなる
- 自律神経のバランスが崩れる
脳機能が低下する
寝不足の状態が続くと、注意力や判断力、記憶力などの脳の働きが鈍くなると言われています。
睡眠には、覚えた情報の整理や定着、脳の疲労回復といった重要な役目があるとされています。 これらの機能が果たされないと、日中の思考や作業に支障をきたす可能性が高いです。
また、脳は睡眠中にその日の情報を整理したり、疲労を修復する働きを行っていると考えられています。そのため、睡眠不足はこうした脳のプロセスの妨げになる可能性が高いです。
例えば、睡眠不足の日には会話の内容がうまく記憶に残らなかったり、簡単な計算や作業でもミスが増える傾向があると言われています。
なお、慢性的な寝不足が続くと、学習効率や仕事の生産性に影響が及ぶことがあるため注意が必要と言われています。
精神的な疲労感が増す
寝不足が続くと心身が休まらず、精神的な疲労感が強まりやすくなる可能性があると言われています。
精神的疲労とは、脳が過剰に働き続けることで起こる疲れのことを指すことが一般的です。精神的な疲労が蓄積すると、やる気の低下や注意力の維持が難しくなるなどの症状がみられるケースも多いです。
そのため、睡眠が足りないとストレスホルモンが増加し、気分の落ち込みやイライラや不安定さを感じやすくなる可能性があるでしょう。
例えば、次のような変化が起こることがあります。
- 集中力が続かず、仕事でミスが増える
- 気分が乗らず、やる気が出ない
- ささいなことに対して怒りっぽくなる
- 判断力が鈍くなり、決断に時間がかかる
- 人とのやりとりに疲れを感じる
また、精神的な疲労が続くと、心の健康にも影響を及ぼす可能性があります。精神的な疲労や辛さが長引く場合には、専門の医療機関に相談することも検討してみてください。
肥満を招きやすくなる
寝不足が続くと、ホルモンバランスの乱れによって食欲が増し、太りやすくなる傾向があるとされています。
食欲には、満腹感を促す「レプチン」と空腹感を刺激する「グレリン」というホルモンが関係しており、寝不足の状態の場合、レプチンが減りグレリンが増えやすくなると言われています。
これにより食欲のコントロールが難しくなり、思いがけず過食してしまうことで体重が増加しやすくなると考えられています。
また、寝不足によって具体的に以下のような状況が起こりやすくなる可能性が高いと言えるでしょう。
- 夜遅くに間食をしがちになる
- 朝食を抜きがちになる
- 活動量が減りがちになる
- ストレスで食欲が増えがちになる
また、肥満は高血圧や糖尿病などの生活習慣病につながる可能性もあるため、日頃から睡眠と食生活のバランスを意識することが重要です。
自律神経のバランスが崩れる
自律神経のバランスが乱れやすくなり、心身の不調をもたらす場合があることも寝不足が続くことで見られる症状の1つとされることが多いです。
自律神経は、交感神経と副交感神経のバランスによって成り立っており、体温調整や内臓の働き、心拍数などを調整するという役割があります。
本来は、日中は交感神経、夜間は副交感神経が優位になることで、体は自然にオン・オフの切り替えができるようになるとされています。
しかし、寝不足になると交感神経の働きが強くなり、ストレスを感じやすい状態になると考えられています。その結果、体が緊張状態となり、心身の調子を崩しやすくなる可能性が高いです。
例えば、自律神経のバランスが崩れると、日常の中で以下のような不調として現れることがあるでしょう。
- 頭痛やめまいが起きやすくなる
- 動悸や息切れを感じやすくなる
- 胃腸の調子が乱れる
- イライラや不安感が強まる
- 手足が冷えたり、ほてったりする
- 疲れがなかなか抜けない
- 寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めやすくなる
また、自律神経の乱れによる不調が長引いたり、日々の生活にも支障が出るようであれば、我慢せずに専門の医療機関を受診することが大切です。
【寝不足を解消したい人向け】睡眠の質を高める方法
睡眠時間をしっかりとっているにもかかわらず、日中に眠気やだるさを感じるようであれば、睡眠の質が低下している可能性があります。ここでは、質の高い睡眠を得るために効果的な方法を3つ紹介します。
- 就寝前にリラックスできる時間を確保する
- 寝室の環境を整える
- 自身の体に合った寝具を選ぶ
就寝前にリラックスできる時間を確保する
就寝1〜2時間前には、スマホやPCなどのデジタルツールの使用を控え、リラックスした時間を持つようにしましょう。
ブルーライトを発する電子機器は、脳を刺激しやすく睡眠を妨げる要素となるという見解が多いです。
一方で、落ち着いた時間を過ごすことで副交感神経が優位になり、眠気を促しやすくなると言われています。また、リラックスした時間を過ごすことで、心身の緊張がゆるみ、睡眠をサポートするホルモンの分泌も促されるとも考えられています。
そのため、次のような方法で、就寝前にリラックスできる時間をつくると良いでしょう。
- スマホやPCを目に入らない場所に置く
- 照明を暖色系のやわらかい光に切り替える
- 好みのアロマの香りで心を落ち着ける
- 本を読んだり、静かな音楽を聴く
- 軽めのストレッチをする
- 温かいドリンクを飲む
リラックスの方法は人によって合う合わないがあるため、自分に合った方法を見つけることが大切です。
寝室の環境を整える
寝室の環境を整えることで、眠りにつきやすくなり、結果的に睡眠の質が高まりやすくなると言われています。
一般的に心地よい睡眠をとるための環境作りには、温度・湿度・音・光のバランスが大切です。静かで落ち着いた空間は、副交感神経の働きを促し、心身をリラックスさせやすくなると考えられています。
このように、眠りやすい環境を整えることで、体の緊張が和らぎ、自然な入眠を促しやすくなる可能性があります。
眠りやすい空間づくりのために例えば、以下のような工夫を取り入れてみるのも1つの方法です。
- 室温は18~22℃、湿度は40~60%を目安に設定する
- 遮光カーテンで外からの光を遮り、暗い環境をつくる
- 耳栓やホワイトノイズを取り入れて静かな環境にする
また、寝ているあいだに温度や湿度が変わりすぎると、眠りが浅くなることがあるため、段々と適切な室温になるようにエアコンなどを調節すると良いでしょう。
自身の体に合った寝具を選ぶ
睡眠中の体への負担を和らげるためには、自分に合った寝具を選ぶことが大切とされています。ここでの寝具には、マットレスや枕、掛け布団などが含まれます。
自分に適していない寝具を使い続けると、寝つきが悪くなったり、朝に疲れが残ったりすることがあるため注意が必要でしょう。
寝具を選ぶ際は、次のような点を参考にすると良いでしょう。
- 枕:首や肩に負担がかかりにくく、自然な姿勢を保ちやすいもの
- マットレス・敷布団:体のラインにフィットしやすく、適度な硬さや反発力のあるもの
- 掛け布団:季節や室温に合わせて、重すぎず通気性のあるもの
- 素材:敏感肌の方や汗をかきやすい方は、肌ざわりのやさしい天然素材が使われたもの
寝具は実際に触れてみないと分からない部分もあるため、可能であれば店舗で試してから選ぶと安心感を持てるでしょう。
また、自分の睡眠環境や体調の変化に応じて、定期的に見直すようにすると良いでしょう。
寝不足を解消したいときに避けるべき習慣
寝不足の解消には、日常的な習慣を見直すことが重要であると考えられています。
以下のような習慣は、良質な睡眠の妨げとなる恐れがあるため、日常的に避けると良いでしょう。
- 就寝の直前に夕食を摂る
- 30分以上昼寝する
- 寝る直前までスマホやPCを操作する
- 就寝前にアルコールを摂取する
- 就寝前に激しい運動をする
- 寝れない時に無理に寝ようとする
就寝の直前に夕食を摂る
夕食は、就寝の直前ではなく、就寝前の2〜3時間前までに済ませるようにすると良いでしょう。
スムーズに眠りにつくには、自然に体温が下がることが大切と考えられています。しかし、就寝前にご飯を食べると、消化器官の働きにより体温が上昇する可能性があるため、睡眠の妨げとなってしまう場合があります。
例えば、21時に就寝する場合、夕食は18〜19時頃に済ませておくのが望ましいと考えられています。もし、どうしても就寝の2~3時間前に食事をするのが難しい場合は、胃腸に優しいものを少し食べる程度に済ませるなどの工夫をすると良いでしょう。
30分以上昼寝する
30分以上の昼寝は、夜間の睡眠を妨げ、睡眠のリズムを崩す可能性があります。
昼寝は30分程度が適切とされており、これ以上は深い眠りに入ってしまい、目覚めたときに頭がぼんやりしたり、だるさを感じる人が多いです。
短い昼寝は、疲労回復や集中力アップに効果的ですが、30分以上の長い昼寝は体内時計を乱しやすくなると考えられています。その結果、夜に眠れなくなり寝不足がさらに悪化する可能性が高いです。
昼寝は、昼食後など午後の早い時間に20分程度に留めると良いでしょう。また、タイマーをセットして寝過ごしを防ぐことをおすすめします。
なお、夕方以降の仮眠や、長時間の昼寝は体にだるさを感じる場合があるため、時間帯や長さには注意が必要です。
寝る直前までスマホやPCを操作する
就寝前のスマホやPCなどのデジタル機器の使用は、睡眠の質を低下させると言われています。
デジタル機器から出るブルーライトは、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑えると考えられています。その結果、眠気を感じにくくなり、寝つきが悪くなる恐れがあります。
そのため、寝る1〜2時間前からは、スマホやPCを使わずに過ごすようにすると良いでしょう。代わりに、ヨガをしてみたり音楽を聴いたりすることも、心身の緊張を緩めることに役立つ場合が多いです。
また、ブルーライトカットフィルターを使用したり、スマホをナイトモードに設定するのも有効であると考えられています。
ただし、ブルーライトを完全にカットできるわけではないため、使用時間を減らすことが対策になると言えます。
就寝前にアルコールを摂取する
就寝前に、アルコールを摂取すると寝付きが悪くなる可能性があります。
アルコールは、一時的に眠気を誘いますが、睡眠の途中で目が覚めやすく深い眠りにつきづらいです。
アルコールを上手に取り入れるためには、いくつかの工夫が役立つとされています。
アルコールを上手に取り入れる工夫の一つに、飲むタイミングとして就寝の3〜4時間前までにするのが良いとされています。
理由として、アルコール自体の分解に時間がかかるためになります。
また、アルコールを過剰に摂ると、中途覚醒や浅い眠りにつながることがあるため、適量を意識することが大切と考えられています。
なお、アルコールには利尿作用があるため、水分補給を行うことで、脱水症状を予防できる可能性が高いです。
注意点として、アルコールの作用には個人差があると言われています。そのため、体質やその日の体調によっては、少量でも睡眠に支障をきたすことがあるため、自分に合った摂取量やタイミングを見つけることが大切であると言えるでしょう。
就寝前に激しい運動をする
就寝の2〜3時間前からは激しい運動を控え、ストレッチや軽めのヨガなど負担の少ない動きに留めておくのが良いとされています。
ここでいう激しい運動とは、心拍数や呼吸数が大きく上がるような強度の高い運動を指します。このような運動をすると交感神経が優位になり、アドレナリンが分泌されて覚醒状態が続きやすくなるため、寝つきが悪くなることが多いです。
例えば、就寝前にスクワットや腕立て伏せを10分ほど続けたところ、体が熱を持ち、布団に入ってもなかなか寝つけなかったというケースがあります。
そのため、就寝前の運動は体をリラックスさせることを目的とし、ゆったりとした動きで無理のない範囲に留めると、眠りに入りやすくなるでしょう。
寝れない時に無理に寝ようとする
なかなか寝つけない時には、無理に寝ようとせず、気持ちを緩めることが大切とされています。
ベッドの中で「早く寝なければ」と意識すると、不安や焦りが強まり、目が冴えやすくなると言われています。そのため、リラックスして自然な眠気が訪れるのを待つほうが、眠りにつながりやすいとされることが多いです。
30分以上経っても眠れない場合は、いったんベッドを離れて、温かい飲み物を飲んだり、音楽を聴いたり、本を読んだりするなどをして、心身を落ち着けるのも一つの方法です。
例えば、次のような行動は、眠気を妨げる可能性があるため注意が必要です。
- スマホやパソコンを見る
- 時間を確認する
- 食事や飲酒をする
このように、「眠らなくては」と強く意識しすぎず、自然な流れに身を任せることが眠りへの近道となり得ます。
寝不足の解消方法に関するよくある質問
寝不足を解消するためにはどれくらいの睡眠時間が必要ですか?
一般的には、7〜9時間の睡眠が必要とされていますが、これには個人差があると考えられています。
7〜9時間という基準は、多くの研究で体と脳が回復するのに必要な時間であるという見解が多いです。しかし、睡眠不足が解消される睡眠時間は、個人のライフスタイルや健康状態によっても異なる場合があります。
また、質の良い睡眠がとれているかも大事なポイントと言えるでしょう。日中の体調や眠気、集中力に問題がなければ、今の睡眠時間が適している可能性が高いです。
なお、週末に普段より長時間の睡眠をとってしまう場合は、平日の睡眠不足を埋め合わせしようとしているサインと考えられるため、注意が必要でしょう。
寝不足解消に効果のあるツボはありますか?
寝不足解消に効果があると考えられているツボは、いくつか挙げられます。
ツボ押しは、血行を促進し筋肉のコリを和らげることでリラックス作用をもたらすと考えられています。
また、特定のツボは自律神経を整えると考えられており、睡眠の質が改善される場合があります。以下に、寝不足解消に効くとされる代表的なツボを7つ紹介していきます。
ツボ名 | 場所 | 主な効果 |
百会(ひゃくえ) | 頭のてっぺん | 頭がすっきり・ストレス解消・眠気軽減 |
合谷(ごうこく) | 手の甲、親指と人差し指の間 | 眠気・集中力・自律神経を整える |
印堂(いんどう) | 眉と眉の間 | 集中力・気分のリセット・目の疲れ |
労宮(ろうきゅう) | 手のひらの真ん中 | 自律神経の安定・ストレスを和らげる |
風池(ふうち) | 首の後ろ、耳の下のくぼみ | 頭・首の疲れ・眠気の軽減 |
中衝(ちゅうしょう) | 中指の先 | 意識がシャキッとする・眠気をとばす |
太陽(たいよう) | こめかみ | 目の疲れ・ぼんやり感の解消 |
ただし、ツボ押しの効果には個人差があるため、すぐに劇的な効果があるとは期待せずに、あくまで補助的な手段として考えるようにしましょう。
目をつぶるだけでも寝不足解消の効果はありますか?
ただ目を閉じることのみで睡眠と同じような効果を得るのは難しいですが、多少の疲労回復には効果があると考えられています。
目を閉じると視覚からの情報が入らなくなるため、脳がリラックスしやすくなると言われています。仮眠のように寝不足を解消する効果はあまり期待できませんが、目をつぶって静かに過ごすのみでも、気持ちをリセットしたり集中力を回復する助けになることがあるでしょう。
【監修者プロフィール】

江東こころのクリニック院長
谷本 幸多朗医師
九州大学医学部卒業後、帯広第一病院にて救急医療や外科及び内科の研修を経験する。
2013年より久喜すずのき病院にて精神科急性期医療を後期研修し精神保健指定医となる。
2018年より江東区にて一般メンタルクリニックに加えて認知症デイケアを併設した物忘れ外来も行う精神科クリニックである江東こころのクリニックを開業し、現在に至る。
▼主な経験
・精神保健指定医の経験あり
・製薬会社主催の各講演会や地域の医療職対象の勉強会において講演や座長の経験多数あり