目次
イライラを抑えられない原因
イライラを抑えられない場合は、心や体に負担がかかっているサインであることが多いです。原因としては次のようなものが考えられます。
- 精神的なストレス
- 仕事のストレス
- 人間関係のストレス
- 自律神経のバランスの乱れ
- 健康上のトラブル
精神的なストレス
精神的なストレスが、イライラしやすい状態の原因となっていることがあります。
精神的なストレスは、一般的に、日常生活で感じる不安や緊張によって、心にプレッシャーがかかったときに生じるという見解が多いです。ストレスを自覚しないまま蓄積していくと、心の余裕が少しずつ失われ、感情が不安定になりやすいと考えられています。
例えば、日々の仕事や子育てで気が張り詰めた状態が続くと、小さな出来事にもイライラを抑えられなくなる場合も多いです。このように、自分では大丈夫と思っていても、心が疲れていることもあります。そのため、意識的に休息や気分転換の時間を取ることが大切だと言えます。
仕事のストレス
仕事のストレスが、イライラの原因のひとつとなっていることがあります。
ここでいう仕事のストレスとは、業務量の多さや責任の重さ、人間関係、職場環境など、働く場面で感じる心身の負担を指します。こうしたストレスは積み重なると、感情のコントロールが困難になり、日常的にイライラを感じやすくなるものです。
例えば、自分のキャパシティをオーバーする仕事量や、同じミスを繰り返す後輩への対応、曖昧な指示を出す上司との関係などが、心の余裕を奪うきっかけとなるでしょう。
なお、仕事の内容や職場環境はすぐに変えられない場合もありますが、まずは自分が何にストレスを感じているのかを知ることが、対策の第一歩になり得ます。
人間関係のストレス
人間関係によるストレスが、イライラの引き金になることがあります。
ここでいう人間関係のストレスは、家族や友人、職場、ご近所づきあいなど、身近な人との関わりの中で感じる心の負担を指すことが多いです。、このストレスは、日々のやり取りの中で少しずつ蓄積され、感情が不安定になってしまう傾向があります。
例えば、家族や近所の人との価値観の違いに悩んだり、友人との些細な行き違いが続いたりすると、気づかないうちにストレスがたまり、イライラしやすくなる要因となるでしょう。
なお、人間関係は自分ひとりでは解決が難しい場合もありますが、何にストレスを感じているのかを言語化して整理するのみでも、少し気持ちが落ち着く可能性があります。
自律神経のバランスの乱れ
自律神経のバランスが崩れると、イライラしやすくなることがあります。
自律神経は、体温や呼吸、内分泌などを無意識に調整する神経で、交感神経と副交感神経の切り替えによって心身の状態を整えるものであると考えられています。
ストレスや生活リズムの乱れによって自律神経の働きが乱れると、感情のバランスも取りにくくなり、イライラや緊張感が増す可能性が高いです。
例えば、睡眠不足や偏った食事、仕事や育児のストレスが継続することで、自律神経の機能が低下し、気持ちが不安定になる可能性が高まるでしょう。
そのため、リラックスできる時間や規則正しい生活を心がけることが、自律神経を整えるための始めの一歩となり得ます。
健康上のトラブル
体調不良やホルモンバランスの変化など、健康上の問題がイライラの原因になることがあります。
健康上のトラブルには、月経前症候群(PMS)や睡眠不足、栄養の偏り、慢性的な疲労などがあり、心身のバランスを崩しやすくなるものと考えられています。こうした身体的な不調は、気分の浮き沈みに影響し、イライラや不安感などの感情として表れやすくなるでしょう。
例えば、眠れない日が続いて集中力が低下したりすると、普段なら気にならないことに対してもイライラを感じることがあります。
気になる症状が続くときは、無理をせずに自分の体調を見つめ直し、必要に応じて医師に相談することも有効な手段となり得ます。
イライラを抑えられない時の対処法
イライラを感じたときは、心と体を落ち着ける行動を意識することで、気持ちを穏やかにすることができると考えられています。 ここでは、日常で取り入れやすいイライラを抑える方法をご紹介します。
- 深呼吸をしてリラックスする
- ストレッチをする
- 仲が良い人と話す
- よく笑うようにする
- 好きな食べ物を食べる
- 日光を浴びる
- 趣味に時間を充てる
- 睡眠をしっかりとる
- 時間に余裕をもつ
- 自分を見つめ直す
深呼吸をしてリラックスする
深呼吸を意識して行うことで、気持ちが落ち着きやすくなり、イライラを和らげられることがあります。
深呼吸とは、一般的にゆっくりと息を吐き出し、静かに吸い込む動作を繰り返すことで、心身の緊張を和らげる呼吸法のことを指すことが多いです。
この深呼吸により副交感神経が優位になると、緊張や興奮が和らぎ、イライラや不安感を抑えやすくなると考えられています。
例えば、背筋を伸ばして座り、鼻からゆっくり息を吸いお腹をふくらませ、口からゆっくりと倍の時間をかけて吐き出す腹式呼吸を5回ほど繰り返すことで、心が落ち着いたと感じる方もいます。
そのため、慌ただしい日常の中でも、数分時間をとり、静かな場所で深呼吸をすることで、ストレスを軽減しやすくなると言えるでしょう。
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ストレッチをする
ストレッチを取り入れることで、身体と心の緊張がゆるみ、イライラを感じにくくなることがあります。
ストレッチは、筋肉をゆっくりと伸ばすことで体のこわばりをほぐし、血流を促す動作のことで、運動が苦手な人でも気軽に取り組みやすい方法の1つです。
ストレッチをして身体をほぐすことで、副交感神経が優位になり、心身のリラックスにつながると考えられています。
例えば、座ったまま両手を組んで上に伸ばしたり、ゆっくりと首を回すのみでも、呼吸が整いやすくなり、気持ちが軽くなると感じることがあるでしょう。ちなみに、無理に体を動かす必要はなく、自分が心地良いと感じる範囲で、毎日続けられるペースを見つけることが大切です。
仲が良い人と話す
仲の良い信頼できる人と話すことで、気持ちが整理されイライラが和らぐことがあります。
イライラの原因には、気づかないうちに蓄積されたストレスや整理できていない感情が関係している場合があります。そうした思いを言葉にすることで、気持ちが軽くなる可能性が高いです。
そのため、感情を外に表現することで自分の状態を客観的に見直せるようになり、ストレスの緩和につながりやすくなるでしょう。
例えば、最近うまくいかないと感じたときに親しい人に話を聞いてもらうのみでも、気持ちが楽になったり、新たな視点に気づけることもあります。
しかし、無理に誰かと話す必要はありません。人と会いたくないときは、一人で静かに過ごす時間を取ることも、心を整える有効な手段となり得ます。
よく笑うようにする
笑うことで気分が軽くなり、イライラの感情が和らぐことがあります。
笑うという行動には、体の緊張をほぐしたり、脳に酸素を取り込みやすくしたりと、リラックス状態をつくる効果があると考えられています。そのため、笑うことで副交感神経が優位になり、ストレスによる緊張や不快感が和らぐ可能性が高いです。
例えば、コメディ番組を見て、声を出して笑った後に気分が晴れたり、友人との雑談で笑った後にイライラが落ち着いていたという経験がある方も多いでしょう。
また、無理に笑おうとせず自然と笑える環境を意識することが重要です。お気に入りの動画や好きな人との会話など、自分なりの笑えるきっかけを見つけてみると良いでしょう。
好きな食べ物を食べる
好きなものを食べることが、気持ちを落ち着ける手助けになる場合があります。
美味しいと感じるとき、気分を和らげたり、幸福感を引き出す働きを持つ物質が、脳内で分泌されると考えられています。そうした物質の働きにより、心がほっと落ち着き、イライラや不安感を和らげることにつながる可能性が高いです。
例えば、仕事や家事で疲れているときに、自分の好きなスイーツや料理を味わうことで、自然と気持ちが軽くなったと感じた経験がある方も多いでしょう。
なお、ゆっくりと味わうことで、気分が落ち着きやすくなり、食事の満足感も高まりやすくなります。
日光を浴びる
日光を浴びることで、気持ちが穏やかになり、イライラを和らげるきっかけになることがあります。
太陽の光を浴びることで、脳内では「セロトニン」と呼ばれる物質が分泌されるとされており、心のバランスを整える効果が期待できます。
このセロトニンには、イライラした精神状態を落ち着かせるのに効果があると考えられており、気分の安定にもつながる可能性があるでしょう。
例えば、日中に近所を散歩したりベランダで短時間日光を浴びることで、気分転換になり心が軽く感じられる場合があります。なお、日差しが強い季節は、10〜15分ほどを目安に、日焼け対策をしながら行いましょう。
まずは、窓際で自然光に当たることから始めてみるのも良いでしょう。
趣味に時間を充てる
趣味に時間を充てることが、気分転換となり、イライラを和らげるきっかけになることがあります。
好きなことに没頭することで、心の緊張がゆるみ、イライラした気持ちをリセットしやすくなると考えられています。趣味に集中する時間は、余計なことを考えずに好きなことに熱中でき、思考がネガティブな感情から一時的に離れ、気持ちを切り替えやすくなるという見解が多いです。
例えば、読書や映画鑑賞、ゲーム、散歩、カラオケなどに時間を使ってみることで、イライラのもとから一度離れることができ、気分が軽くなる可能性が高いです。
ちなみに、忙しいときほど、あえて「自分のための時間」を意識的にとることが重要だと言えます。短い時間でも可能なため、気負わず気軽に取り入れてみると良いでしょう。
睡眠をしっかりとる
睡眠をしっかりとることが、心身の疲れを癒やし、イライラを和らげる助けになる場合があります。
睡眠には、体の疲労を回復させるのみでなく、心のストレスを和らげる働きもあると考えられています。そのため、眠りが浅かったり不規則な生活が続いたりすると、感情のコントロールが難しくなり、ストレスへの耐性が低下することがあるでしょう。
例えば、夜更かしが続いた翌朝に気分がすぐれず、ちょっとしたことにもイライラしてしまった経験がある方も多いでしょう。
一般的には、睡眠時間は6〜8時間が目安と考えられています。なお、休日の寝溜めは生活リズムを乱す原因となるため、毎日同じ時間に寝起きする習慣を心がけましょう。
時間に余裕をもつ
時間に余裕をもつことで、イライラを和らげられる場合があります。
無理のないスケジュールを組んだり、行動にゆとりをもたせたりすることで、心に落ち着きをもたらす工夫のひとつと考えられています。人は時間に追われていると感じると、些細なことでも焦りやストレスを感じやすくなり、感情のゆとりを失いやすくなる場合が多いです。
例えば、朝の支度や通勤や登校の準備を10分前倒しで動くことで、忘れ物や遅刻への不安が減り、落ち着いた気持ちで1日を始められるでしょう。
時間の余裕は自然に生まれるものではなく、意識的に作り出すことが必要となります。なお、全てを完璧にこなそうとせず、タスクの優先順位を見直すことも、心のゆとりにつながる一歩と言えるでしょう。
自分を見つめ直す
自分の考え方や感じ方を見つめ直すことが、イライラを和らげるきっかけになることがあります。
具体的には普段の感情の動きや価値観を振り返り、自分の思考や行動のクセに気づくようにすると良いでしょう。感情の揺れが大きくなる背景には、自分自身の考え方や期待が影響していることも多く、それらに意識を向けることで心の整理につながる可能性が高いです。
例えば、他人の行動に過剰に反応してしまうとき、自分が何を期待していたのかを考えることで、「そういう考え方もある」と受け流せるようになる場合があります。
なお、感情を書き出すなど、目に見える形にすると気づきが得られやすくなる可能性があります。
イライラを抑えられない時に考えられる病気
イライラを抑えられない状態が続く場合、主に以下の病気が関連している可能性があります。
- 自律神経失調症:ストレスが影響し、自律神経のバランスが乱れ、情緒の不安定さやイライラが生じやすくなることがある
- 月経前症候群(PMS):月経前のホルモン変化により、感情の起伏や苛立ちが強まる傾向がある
- 甲状腺機能亢進症:ホルモン分泌の過剰によって神経が過敏になり、気分の浮き沈みや焦燥感が現れることがある
- 境界性パーソナリティ障害:対人関係の不安定さや自己イメージのゆらぎから、イライラや衝動的な言動が目立つことがある
- 更年期障害:加齢に伴うホルモン変化が自律神経に影響し、感情が不安定になりやすくなるとされる
- うつ病:抑うつ気分に加え、焦りや苛立ちが強くなる傾向があり、人との関わりが負担に感じられることもある
- 強迫性障害:確認や思考を繰り返すことで安心感を得ようとするが、思い通りにいかないことでイライラを招くことがある
- 認知症:初期段階で記憶の混乱や不安が強まり、自分への苛立ちや他者への攻撃的な態度に表れることがある
- 双極性障害:気分が高揚する時期と沈む時期を繰り返し、イライラや怒りっぽさが目立つ状態になることがある
これらの症状は、本人が気づきにくい可能性が高いです。また、日常生活に支障をきたすようなイライラが続くときには、早めに医師やカウンセラーに相談することが大切であると考えられています。
背景にある疾患に気づかずに放置すると、心身に大きな影響が出ることもあるため、早めの気づきが大切であると言われています。
なお、生活習慣に問題が見当たらなくても、怒りや不安が頻繁に現れる場合は病気が潜んでいる可能性があります。自分の状態を冷静に見つめ、必要に応じて専門機関を頼ることが、より良い状態へつながる第一歩になるでしょう。
イライラしてしまう人の特徴
イライラしやすい人には、以下のような特徴が見られる可能性が高いです。
- 完璧主義
- 几帳面で真面目
- 過度な気配り
- 感情や思考の切り替えが下手
- 自己肯定感が低い
- 人に頼るのが苦手
- 感情表現を抑えがち
これらの特徴を持つ人は、日常生活や職場でのストレスを感じやすく、結果としてイライラしやすくなる傾向があります。
例えば、完璧主義の人は、プロジェクトで小さなミスが発生した際、自分を過度に責め続け、次の作業に集中できなくなる場合が多いです。
これらの特徴を持つこと自体は悪いことではありませんが、度を越してしまうとストレスの原因となるため、自己の特性の理解と適切なストレス対処法を身につけることが大切です。
イライラしているかのチェック方法
イライラを感じているかどうかは、日々の心と体の変化を確認することで気づける場合があります。
自分でも気づかないうちにストレスがたまり、感情が不安定になっていることも少なくありません。心の疲れは目に見えにくいため、簡単なチェック項目を通して客観的に状態を振り返ることが重要と言えるでしょう。
以下の項目に複数当てはまる場合は、気づかないうちにイライラを抱えている可能性があります。
- 眠りが浅い、すぐに眠れない
- 朝の目覚めがつらい
- やる気が起きない
- 興味や喜びを感じることが減る
- 食欲の低下、または暴食してしまう
- しっかり寝たのに疲れがとれない
- 会社の業務や家事、子育てに専念できない
- 軽いめまいやふらつきが起こることがある
いくつか当てはまる項目がある場合は、生活において張りつめた気持ちを少しゆるめる意識を持ってみましょう。なお、改善が難しいときは、医療機関に相談することも一つの方法です。
抑えられないイライラに関するよくある質問
ブチギレ症とは何ですか?
ブチギレ症とは、一般的に間欠性爆発性障害と呼ばれる状態を指すと言われております。
この障害は、日常的な些細な出来事に対して、過剰な怒りや攻撃的な行動を短時間で爆発的に起こす傾向があると言われています。衝動的に怒りをぶつけた後に、後悔や自己嫌悪の感情を抱くケースも多いと考えられています。
なお、間欠性爆発性障害の疑いがある場合は、心療内科などで専門的な診断が必要とされるため、症状に心当たりがある際は、早めに医療機関へ相談することが望ましいとされています。
イライラが止まらないのは障害ですか?
イライラが止まらない状態が続く場合、なんらかの精神的な不調や障害が関係している可能性があります。
イライラは、疲れやストレスなどによって引き起こされる自然な反応だとされていますが、イライラが長く続いたり、日常生活や人間関係に影響するほど強くなる場合は、注意が必要です。
例えば、うつ病や双極性障害、強迫性障害、月経前症候群(PMS)、認知症、ホルモンの乱れなどが関係している可能性があると考えられています。また、些細なことでカッとなったり、怒りっぽくなったりする状態は、体の疲れや自分では気づいていないストレスが影響していることも考えられます。
ストレスで限界な人のサインは?
ストレスが限界に達している人には、以下のような変化が現れる可能性があります。
- 疲れているのに寝付けない
- 趣味が楽しめない
- 感情が表に出なくなる
- 口数が減る
- 人付き合いを避ける
- 遅刻や欠勤が増える
- 身だしなみに気を使わなくなる
- 怒りっぽくなり、ささいなことで感情的になる
- 業務中にぼーっとする、集中できない
- 仕事のミスが増える
- 身体の不調(頭痛・胃痛など)を頻繁に訴える
なお、ストレスの限界が近づいていると、自分では気づけないことも少なくありません。そのため、周囲の人が変化に気づき、さりげなく声をかけることが、深刻な状態を防ぐきっかけにつながることもあります。
【監修者プロフィール】

江東こころのクリニック院長
谷本 幸多朗医師
九州大学医学部卒業後、帯広第一病院にて救急医療や外科及び内科の研修を経験する。
2013年より久喜すずのき病院にて精神科急性期医療を後期研修し精神保健指定医となる。
2018年より江東区にて一般メンタルクリニックに加えて認知症デイケアを併設した物忘れ外来も行う精神科クリニックである江東こころのクリニックを開業し、現在に至る。
▼主な経験
・精神保健指定医の経験あり
・製薬会社主催の各講演会や地域の医療職対象の勉強会において講演や座長の経験多数あり